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Pallete~第10話~

2010年10月19日 00:00

「ベ、別に忘れていたわけじゃないんだから!」

 こんばんは、ホントに文章はできていたのですが、あいにくこちらに貼り付けることをずっとできない状況にまで忙しさがなっていたもんで・・・。まあどうにか校正も終わり、大丈夫かなと思って第10話を出します。内容としては忘れた方はカテゴリのところにありますので、そちらを開いてくださいな。

 それでは続きを書いていきます。久々になってしまいすいませんでした。では物語に入りましょう!
 まだ夜明け前だが、赤く燃えていた。何もかも。そこには絶望の表情の生ける少女と安堵の死に顔の老婆がいる。前者は暗い暗いウルトラマリン。後者は穏やかすぎるセルリアンブルー。この二者のコントラストを周りの炎の赤と空の黒がさらに印象的に際立たせている。少女は手にしているパレットをふと落とし、茫然自失の瞳から涙が流れる。そして声も出せずに、1人立ち尽くし続けるのだった。

 朝はっと目を覚ます。時刻は6時過ぎ。空はまだ明るくなって間もない。美和はどうもあの罪を夢見てしまって、気分がコバルトブルーだ。いやもっと黒いか。どうしても時々この夢を見てしまう。まるで、懺悔と後悔を忘れるなと自分自身が命令してるように。これがいつまで続くのかと思う一方で、ずっと見なければならないものだと理性的には感じている。目を開けていても、動く気もしない。

 しかし無理やり体を動かすことにする。緩慢に起き上がり、いつものように朝を作ろうかとぼんやりしながら、台所に行く途中に、プジュルがいた。

「おはよー、美和。今日は元気ないじゃない?」

「…う、うん。そうかもねー…。」

 どうもぎこちない表情に何となくプジュルは理由を察する。だから一瞬目を細める。そして彼女に悟られないように、いつもの適当な口調で言葉をかける。

「あーあ、こんな陰気な子じゃ、張り合いないわねー。これじゃ、《絵師》も務まらない。しかも、《無限の大海》柳和子の後継者なんてね…。」

「ここで、柳さん引き合いに出さないでよ!私は・・・。」

 ここで何を言うか分かったプジュルは遮って、尋ねる。

「じゃあテストよ~。元気になる色は?」

「・・・セルリアンブルー。・・・さっきまでより元気になった、あれ?どうしたのかな、私?」

 その様子を見て、プジュルは溜め息を零して、思う。

(やっぱり美和、あれ持ってるのよねー。嫌になっちゃうわよ。しかもオレンジって言えないか・・・。あれが原因かしらねー・・・。)

「じゃあ、元気になったところで、ご飯ちょうだい。あ、あと南央はもう出かけたわよ。何か佳奈子に聞きたいことがあるからって。」

と言って、自分の食事の椅子にのっそりと歩いて行くのでした。

「えっ?いつもならもっとゆっくり寝ている人なのにー。そんなに急ぎの用だったのかな。」

 思案顔の美和にプジュルはあっさりと答える。

「どうしても佳奈子の予言通り動きたくないと奇襲をかけたんじゃないの?南央はそういうところあるからねー。」

「ま、まあ水無さんならやりかねないけどー・・・。」

 そしていつもの調子に美和が戻っていくのだった。





 朝が明けた。ある重々しい雰囲気の部屋に怒鳴り声が響く。

「《天樹会》上層部の情報が現場のチームに流出した疑いがあるのですよ!即刻喚問するべきです。」

 声の主は30歳前後の女性のようだ。とても怒っている顔をいるが、今はどうもそれ以上になぜか切実な雰囲気を醸し出している。一方、怒られている方は50歳を超えた位の男性だ。白髪で年だということは一目瞭然だが、雰囲気が何とも重々しい。体は痩せていて大きく見えるはずはないが、どうしてか圧倒される。そして、たっぷりと間を空けてゆったりと声を紡ぐ。

「では、誰を召還するのかね?犯人の目星は付いているようだが、その証拠はあるはずじゃな。そうしないと私と面会する意味が全くない。そうじゃろ、小林美恵理事。それとも証拠もなく、疑わしきこととして罰せよと言うのかな?『疑わしきは罰せず』と刑事裁判の原則にもある。ラテン語では『in dubio pro reo』というのだったかな。で、それを私は覆して、被疑者を罰せよと。良い御身分ですなー・・・。」

 ずっとのほほんと喋っている男性だが、目はどう見ても本気そのもの。そんな様子に耐えられなくなった小林理事は、反論する。

「今までもこういった同じようなケースを私たちは見逃しているのですよ!そろそろ捕まえなければ抑止力になりません。それとも犯人以外にもこんなことをする輩が出てきても、構わないというのですか?」

 これを聞いて笑い出す男性。そしてそのまま今度は快活にきっぱりとのたまう。

「分かった分かった、それでは後日解析の方をしておく。それなら文句はないはずだな?それともそんなに《天樹会》の情報機密はずさんだとこの私にいたののかね?」

 それを見て、引き下がる小林理事は「今日のところは失礼します。」と疲れた表情で退出するのでした。その様子を終始壁に寄りかかりながら見ているスーツ姿の少女。そして嫌な笑みを浮かべて、男性に語りかける。

「全く、小林理事には困ったものですね。証拠の一つも持ってこないで、《無限の大海》の音無南央氏を召還しなさいなんて。それくらいのことをするのなら、それなりの根拠が欲しいものね。それもなく来るところだと、相当現場陣の独断行動には腹立たしいのかしら。・・・みっともない。」

「まあまあ、そんなことを言うのでない、赤木早苗秘書。彼女だって必死なんだ。それを分かってくれるかな。そういう風には人を見下すのは良くないことだ。」

「分かってます。だから私は自分の尊敬できるものには敬意を払っているのです。例えば現場陣だと『水瀬』音無南央氏,『吟詠』橘佳奈子氏,『天音』栗橋美船氏、あと『五魔守・東の守り手』プジュル。そして上層部では加藤良英制裁長,白雲晴美秘書長,安田あやめ理事は絶大なる尊敬をしています。・・・あと貴方、桜木憲幸理事長。」

「分かったよ。私も尊敬されていて光栄だよ。しかし本当に《天樹会》は現場が強いものだね、権限的には上層部が掌握していると言っても、彼らはみな物事を真剣に考えていない。少しは現場から登用したいものだよ。」

「それは言ってはいけませんよ、理事長。もしそうしたら、有能な現場の人間が減ってしまいますから。だからあなたが働いてください。そうすれば事務方もマシにはなりますから。」

 桜木は苦笑いしながら、1人呟く。しかしそれにはさっきまでとも今とも違う響きを感じさせる。

「マシね~、まあそのくらいだろうよ、私の力なんて。・・・さて、情報も流してあげたことだし、《無限の大海》は今回の指令をクリアできるかな?適材適所の私の信念の通り、このチームでしか解決できないものにしてあげたのだから、《春の三重奏》みたいに失敗は許されないよ!まあ最悪、【あれ】が死ぬだけだから、良いのだろうけど。そしたらまた《至高の芸術家α》の心が死んでしまうだろうがねー。・・・私としては【あれ】を解決できればいいのだから、どうでもいいことだ。」

 それを静かに聞いていた赤木はさっきとは違って、少し震えているようなのだった。
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