2010年04月15日 00:00
こんにちは、2週間おきに発表する個人的小説が第8話となりました。しかし、話が進みませんねー。10話にはもう話が動き始めるとは思いますが、まだまだ準備が足りないんですよね・・・。とにかく、今回は長く書いたので、少しは進むと思います。
それでは続きから書いていきましょう。
「もぅ、なんなのよぉ。面倒なことをしてくれるんじゃない。いろいろ情報が塗り替えられてて、もう手をつけられないじゃない。一気に初期化するんでも、影響は免れないし・・・。美和ちゃんと南央が帰ってきてからでも、いいのかしら?本当に難儀だわ。誰か帰ってきたわね、お帰り~。」
そういうとプジュルに美和が抱きついてくるのでした。
「プジュル~、今回の任務は厳しいよ。原因は分からないし、何故か私の情報がかなりの大規模に目立って溶け込んでいるし。プジュルはそんなことしないもんね!」
プジュルはかなり焦って答える。
「当たり前じゃない。情報操作は必要最低限の範囲内にしないとだめだわ。私もそれは守っているつもりだけど。まあいろをっ付けることも出来るのではあるけど。
とにかく今回は確かにやばそうだわね。私のセキュリティも外されての干渉だからね・・・。」
美和は驚く。それはそうである。プジュルは性格に難があっても、基本的に仕事は完璧にやり切る『設計士』である。昔プジュルの『設計士』としての称号を聞いたときは、びっくりして腰が抜けてしまったくらいだ。彼女は『設計士』に5人しかいない『五魔守』の1人であり、その情報操作のレベルの高さは世界的にも有名だった。ふだんのだらしない姿のプジュルを見てイライラする美和であっても、仕事については彼女を批判することは恐れ多いのだ。
その彼女が自分の失態を恥じることなど美和が『無限の大海』の『絵師』になってからは初めての出来事である。いつもの存在な態度ではなく、かなり疲弊しているようだ。
「しかしねぇー。どうなっているのよ!?面倒なこと仕事にさせられちゃったわねー。で美和、情報操作の誤差はどれくらいなの?私のやったのとそうでないの位は分かるわよね。」
少し思案しながら、美和は答える。
「亜季ちゃんの友達のマリーちゃんとすみ子ちゃんのグループに私を紛れ込ましたのとあの高校の生徒とする認識はプジュルが作ったもの。そして、マリーの性癖のターゲットに増やしたのもプジュル。これはあとでお仕置きするよ♪
さて、あと私への好意という情報操作はおそらく他の誰かから。これをやることで事実の歪が起こることは避けられないくらいことだから。」
少し合間のお仕置き発言には冷や汗だが基本的には合っていると、満足げなプジュル。しかし事態は深刻である。これが悲劇の引き金にならなければいいが・・・。誤魔化す意味も込めて、プジュルはわざとぶっきらぼうに喋る。
「まあこういう異変をあの『魔術師』の神童が見逃すわけはないから、もう調査はしてそうだけどね~。まあ桜木理事長の心配はむしろこちらかもね。」
そこにタイミングよく、水無がきっちりとスーツ姿で現れる。そしてにこやかに応える。
「そんなこと分かっていますよ、プジュル。それにしても今回は任務失敗のルートに突入しつつあるのですよ。そういえば、前回のケースではシュピールがセキュリティ抜かれて、任務失敗だったかしら。」
それを聞いて、プジュルは少し自嘲気味に笑って、その後急に怒り出す。
「・・・くくく。私があの小動物と同格なんて・・・。ってまた《天樹会》の機密を持ち出したの!?だから昇進できないし、理事になれないのよ。しかも色々マークされるし、このチームは。」
それを聞いた水無は何気なく笑って言う。
「まあ私は昇進なんてしたいと思いませんからね。あとマークされる原因はプジュルの職務態度もあると思いますよ。」
「今水無さん、さらっと凄いこといいましたよ・・・。」
とツッコミを美和が入れるのだった。《天樹会》の理事になることはこの職業ではステータスの一つになる。それをあっさり気にしないと言った水無はある意味とんでもないのだ。
「さて話を戻しましょう。プジュル、今回の情報操作の異変は感じているわね?」
「それはもうさっき自分の情報操作と照合して、誤差範囲を超えた干渉を確認したわ。私が来る前に何かどうやら情報操作のファンデーションができていたようだわね。そこに私が干渉したもんだから、こんな状態になったのかしら。」
「もう目星はついているようですね。今回の任務を私たちに任した時点で、どうやら《天樹会》はこれが厄介事と認識していたみたいなの。ただ自分たちでは解決できないと分かった上で、私たちのことを面白く思わない理事たちがこれを割り振ったようなのです。試しに『春の三重奏』を使ってみて、失敗したものですから私たちも地位を下げようとしているのでしょう。」
もともと《天樹会》上層部にとって、理事長に近いチームである『無限の大海』、『春の三重奏』、『雪解けの刻』は気に食わないと思う輩は多い。元々理事長派と理事会派の対立は長年続いており、今回もそんなゴタゴタの1つだと水無たちは考えているようだ。
「まったく面倒なことだわねー。私はもっと楽したいんだけど。そうもいかないでしょ?」
「そうですねー。それでも任務は続行します。ここで放棄して文句を言われるのも嫌ですし。第一、私たちの地位をこれ以上下げるわけには・・・。とにかく美和ちゃん、あなたの仕事も大変になるかもしれません。私とプジュルでできる限りのサポートをしますが、万一の場合は自分で決断しなければなりません。」
ここでやっと美和が口を挟む。
「どうしてそんなことを予め言うのですか?こんなことになりかねないと言ってるようじゃないですか?」
ここで苦々しく水無が答える。
「そうですね。今回の任務が終わるのは対象の調整の完了。それともう一つありますよね?・・・対象の死、またはそれに近い状態になることです。つまりそれを食い止めるのは、今までの失敗任務を見ると『絵師』の判断次第になっています。優秀な『魔術師』・『設計士』・『絵師』で失敗したところもあります。分かりますね?」
「・・・『春の三重奏』ですね。私が優実ちゃんの出来なかったことができるのかな?」
「詳しいことは佳奈子に聞いてきます。それまでも気を引き締めて対応してください。」
最後にプジュルが軽口を叩いて、笑いながら言う。
「まあ、あの天然お嬢様から引き出せるかしら。まあ、意外にあの性格だと物事のすべて見抜いているのかもしんないけどね。私のこともよろしく言っておいてね。今日はもう疲れたから、この話はここまで、美和、ご飯頂戴。」
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