2010年02月17日 00:00
「はぁ~、毎度毎度大変よね、情報操作は思考を簡単に操作することは難しいたらありゃしない。まあ、南央と美和に比べたら楽かしらね。〈魔術師〉みたいなことは出来ても、指揮系統が私じゃ出来ないし、チームの責任取りたくないし、南央見てると負けるし、・・・もう無理、考えるだけでも欝だ。〈絵師〉はコミュニケーションが重要だからね、私のようなひねくれた性格じゃ、調整失敗しまくりそうだわ。これは南央でも言えるかもねー。あれもあれでねー。」
急に何を思い出したのか大声で笑い出した。どうもツボにはまって抜けられないようだ。どうにか抑えてまた喋る。
「おなか減ったなあー。美和が帰って来たら食べ物集ろうかしら。今はまだ惰眠を貪ろうとしよ。・・・猫だし。」
くくくっと声を押し殺して笑う。しかしその後の言葉には憂いがにじみ出ていた。
「〈無限の大海〉、なんて思い名前なの。先代の〈絵師〉を持ってすれば冠たる名。しかし、今の美和にとっては・・・。・・・今から雨を降らせましょうか?笑えない冗談ね。」
一瞬プジュルの表情が曇ったが、突然苦虫を噛んだような表情になる。
「何か違和感あるのよねー。情報操作のミスでもしたのかしら、もう一回精査しなおすかぁー。面倒だな・・・。」
また寝転んでしまった。
灰色の髪の毛の女性がある暗い一室にいた。彼女の前には水色の水晶と水色の半透明スクリーン、コンピューターが、周辺には水色の球体がぷかぷか浮いている。そして、少し疲れたようにその画面を眺める。しかしそのディスプレイされるのは全て暗号化された文字のみ。しかし、それとは別に浮かび上がっているスクリーンがあり、そちらには解読済みの文章が出てくる。
「〈春の三重奏〉の報告書は何でこんな秘匿情報のところにあるのでしょうかね。セキュリティ抜くのも一苦労でしたね。まあそれだけの価値のある情報には思えませんが、直接佳奈子のところに行った方が良いのですかね。・・・まあこれには一応考えはあるのですが、彼は来るでしょうか?とにかく出ましょう。データも取ったし、しかもきっちりほかの情報も得られたことですし、十分でしょう。」
この女性が立つと、一斉に周りの水色の球体が飛び回り、辺りの何かに干渉している。それを尻目に、何事も無かったように、ドアを開けて出て行く。ドアから出ると、そこには1人の男性が壁にもたれかかっていた。しかも睨んでいるときた。
「全く、これをやって私が罰しないことを知って何回も来るなんてどういう了見なんだ、南央。もうこれじゃ部下に示しがつかない。自粛してくれないかな。〈制裁〉の名の下に拘束するよ。」
「いいじゃないですか。はい、機密データ。見るのは自分の高度なセキュリティが構築されているところでね。そうしないと上層部に証拠掴まれるから。あなたなら〈聖域〉を一つはあるでしょ?」
「まあな、私も制裁長なのに、最近は申請が全然届かなくてね。上層部、とくに天樹会の執行会あたりの理事が止めているのだろうね。理事長はそうことしない方だから。ホントに、理事の足の引っ張り合いはご免蒙りたいな。」
「私は私のしたいことするだけよ。別に上のゴダゴダは興味ありませんよ。それでは私も早速見たいので、そろそろいくわね。じゃあね、加藤制裁長。」
といって水無は出口に向かうのでした。一方、加藤はそれをまだ壁にもたれて見送るのでした。そして彼女がいなくなってからポツリと呟く。
「全く南央には敵わないよなー。今度はどこに行くのやら。佳奈子のところだろうな。まあ違うかもしんないが。まあ、私は帰ってこれを見るかな。」
そうしてロビーの前に置いておいた車に乗り込むために歩き出すのでした。
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